Classici giapponesi con furigana
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『このこころのほこり』
『この心の誇り』
宮本 百合子
Leggi 『この心の誇り』 (『このこころのほこり』) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8535 caratteri · 17 schermate
男は、自分一人で彼女のすべてを充しきり独占してしまえないことが判ると、堪えがたく焦燥して彼女から去って行こうとする。
ブレークは、スーザンと暮した年月が幸福であったこと、そして多くのものを与えられたことを知っている。だが、窮極には自分というものをありのままに出して生きるつよい一個の女性としてのスーザンは、彼にとってどう扱っていいのか分らないものとなって来た。その意味からも二人の結び合いは、もうすんでしまった。もしスーザンが、もっと違った人間だったらどうだったろうか。そしたら、ブレークは彼女を恋愛することもしなかっただろう。
スーザンは、ブレークの云うように、今は過去のものとなった自分たちの生活の経験をただ去りゆく影として見ることは出来ないのであった。彼女の命にとって、一度それにふれて来たからには徒に消え去ってゆくものは一つもないと思われた。マークは死に、ブレークは去ってゆくけれども、彼等との生活でスーザンの得たもの、彼等が彼女の胸に投げた影は、どれも意味ふかく経験の一つとしてつみ重ねられてゆく。どんな小さい経験もそれを精魂こめて経験したものにとっては、ただ消えてゆくことではないのである。