Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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このにぎりめし

この握りめし

岸田 国士

Leggi この握りめし (このにぎりめし) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.649 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

「なるほど、新しい絵というもんはこういうもんですかなあ。実際と空想とが火花を散らしてるんでしような」

「面白いことをいうね。君もひとつ絵をやつてみたまえ、絵を……」

「わしは、小学校の時から、図画が不得手でね。丙ばかりもらつとつたですよ」

「僕もそうだ。その方がいゝんだ。世の中で一番つまらん絵は、お手本の絵……」

「そうなると、ますますわからんぞ。いや、お邪魔になるでしようから、これで失礼します。今夜はお暇ですか」

「今夜でなくつても、夜はたいがい暇だよ」

その晩、増田健次は、夕食をすますと、ドテラに着かえて、風呂をもらいかたがた信濃屋へ出かけて行つた。

信濃屋の主人は、帳場にいて、小声で彼に囁いた。

「昨日、前橋へ行つたら、ちようど絵の展覧会があつたもんだから、のぞいてみたんだがね、係りの人に、岡本弘つていう油絵の絵かき知つてるかつて聞いたら、ちやんと知つてたね。非常に有望なんだそうだよ。わしは、今朝、先生の絵を言い値の半分で買う約束をしたよ。まず損はないと思うよ」

増田健次は、ほつとした。一風呂浴びて、岡本の部屋へ行くと、まだ晩酌の最中だつた。

「いよいよ妥協成立というところらしいですね」