Classici giapponesi con furigana
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このにぎりめし
この握りめし
岸田 国士
Leggi この握りめし (このにぎりめし) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.649 caratteri · 27 schermate
五
評判のいゝなんてこたあ、どこかに隙のある証拠だ。おい、それで役目がちやんとつとまるのかい。泥棒をみつけて、おい、早く逃げろなんていうお巡りじやねえのかい?」
「やれ、やれ、絵かきなんてものは、物事を単純に考えるもんだな」
「おや、単純と来やがつた。そうだ、おれは単純派だよ。人生なんてものは、単純なもんさ。それをいやに複雑にしたり、複雑に考えたりする奴がいるから、人間がこすつからくばかりなるんだ。すべて単純で行け、すべて……。平和と進歩、いや、進歩なんて、ほんとは、人騒がせに過ぎん。言わばマンチヤクだ。平和と自由、これならいゝな。おい、増田のあんちやん、貴様はなかなか美男子じやないか。この家のフウ公は毎週パーマネントをしに行くが、貴様に色目を使つてるぞ。気をつけろ、やい」
増田健次は、そこで、ちよつと、ギクリとした。後は、話をそらして、その晩は、早々に引きあげた。
五
その日以来、画家と警官とは、もつと胸襟を開いて話し合う間柄になつた。
増田健次は、しかし、この新しい友人の、どこにどう興味をもつているのか、まだはつきりわからなかつた。時には感心するような意見も吐くが、屡々手のつけようのない無軌道なところをみせ、芸術家という仕事の性質も一応彼に対する無意識の尊敬にはなつているが、増田自身の人物評価の標準からすれば