Classici giapponesi con furigana
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しじみがし
しじみ河岸
山本 周五郎
Leggi しじみ河岸 (しじみがし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.438 caratteri · 51 schermate
娘は片方の頬で微笑した。それは明らかに当惑をそらす微笑であった。
「答えなくってもいいよ」と彼は云った、「次に、おまえは娘の腕で親と弟をやしなって来た、親は寝たっきりだし、弟は白痴だという」
「ちがいます、直は馬鹿じゃありません」お絹は屹となった、「七つのとき蜆河岸で頭を打って、その傷が打身になっているだけです。それが治ればちゃんとした人間になるんです、直は決して馬鹿なんかじゃありません」
「それは悪かった、あやまるよ」
お絹は眼をみはった。与力の旦那に「あやまる」などと云われて、よっぽどびっくりしたのだろう、眼をみはると同時に口があいて、白くて粒のこまかいきれいな歯が見えた。
「白痴と云われても怒るほど、弟おもいなんだな」と律之助は云った、「しかしそれならなおのこと、寝たきりの親や、そういう弟のことを考える筈だ、もしおまえが死罪にでもなるとしたら、あとで二人はどうなると思う」
お絹は答えなかった。
「二人のことは構わないのか」
「それはいいんです」とお絹は云った、「だってもう、あたしはこんなことになってしまったんですから」
「二人が乞食になってもか」
「乞食なんかになりゃしません」