Classici giapponesi con furigana
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それから
それから
Leggi それから di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.794 caratteri · 347 schermate
代助は振り向きもせず、書斎へ戻った。敷居を跨いで、中へ這入るや否や三千代の顔を見ると、三千代は先刻代助の置いて行った洋盃を膝の上に両手で持っていた。その洋盃の中には、代助が庭へ空けたと同じ位に水が這入っていた。代助は湯呑を持ったまま、茫然として、三千代の前に立った。
「どうしたんです」と聞いた。三千代は例の通り落ち付いた調子で、
「難有う。もう沢山。今あれを飲んだの。あんまり奇麗だったから」と答えて、鈴蘭の漬けてある鉢を顧みた。代助はこの大鉢の中に水を八分目程張って置いた。妻楊枝位な細い茎の薄青い色が、水の中に揃っている間から、陶器の模様が仄かに浮いて見えた。
「何故あんなものを飲んだんですか」と代助は呆れて聞いた。
「だって毒じゃないでしょう」と三千代は手に持った洋盃を代助の前へ出して、透かして見せた。
「毒でないったって、もし二日も三日も経った水だったらどうするんです」
「いえ、先刻来た時、あの傍まで顔を持って行って嗅いでみたの。その時、たった今その鉢へ水を入れて、桶から移したばかりだって、あの方が云ったんですもの。大丈夫だわ。好い香ね」
代助は黙って椅子へ腰を卸した。