Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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それから

それから

夏目 漱石

Leggi それから di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.794 caratteri · 347 schermate

Aozora Bunko

「私ゃ一文も出来やしません。借りるんです」

「誰から」

代助は始めから此所へ落す積りだったんだから、判然した調子で、

「貴方から借りて置こうと思うんです」と云って、改めて誠吾の顔を見た。兄はやっぱり普通の顔をしていた。そうして、平気に、

「そりゃ、御廃しよ」と答えた。

誠吾の理由を聞いてみると、義理や人情に関係がないばかりではない、返す返さないと云う損得にも関係がなかった。ただ、そんな場合には放って置けば自からどうかなるもんだと云う単純な断定であった。

誠吾はこの断定を証明する為めに、色々な例を挙げた。誠吾の門内に藤野と云う男が長屋を借りて住んでいる。その藤野が近頃遠縁のものの息子を頼まれて宅へ置いた。ところがその子が徴兵検査で急に国へ帰らなければならなくなったが、前以て国から送ってある学資も旅費も藤野が使い込んでいると云うので、一時の繰り合せを頼みに来た事がある。無論誠吾が直に逢ったのではないが、妻に云い付けて断らした。それでもその子は期日までに国へ帰って差支なく検査を済ましている。それからこの藤野の親類の何とか云う男は、自分の持っている貸家の敷金を、つい使ってしまって、借家人が明日引越すという間際になっても、まだ調達が出来ないとか云って、やっぱり藤野から泣き付いて来た事がある。