Classici giapponesi con furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.182 caratteri · 48 schermate
しかしこの男は着のみ着のままと三枚の蒲団の外と無数の空想との外には何一つ持っていませんでした。机一つなしでは下宿するにも困るだろうと思って、わたしは自分の古机をこの男にやることにしました。その序に、わたしの荷物をいくらか彼に預けることにしました。放浪のような生活をしていたわたしにも満足な荷物はありませんでした。大部分は売ってしまったり質屋へあずけたりしました。その残りの彼にあずけたものというのは、蒲団が五枚――上下二枚ずつと、夏蒲団が一枚。その外には、売りたくない本が三四十冊あったでしょう。十年来読みなれて書き入れをしたものやら、少しは珍らしい本やら、また二三の友人が時折の記念にくれたりしたものも五六冊はありました。わたしはそのわけをよくいって彼にそれを頼むことにしました。
一年ほどしてわたしは旅から帰って或る下宿に落ついた。早速、彼に荷物をとどけてくれるようにハガキを出した。とどいた荷物を見ると蒲団がたった三枚しかありません。わたしは彼を呼んで外の荷物のことを聞くと彼は明日とどけるというのです。どうして一度にとどけなかったかというと、口のなかで何かむにゃむにゃといっているのです。