Classici giapponesi con furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.182 caratteri · 48 schermate
「へ。あれはB君がかけて寝ていま」
「B君が。――あの肺病のB君がか、あの夏のふとんを?」
「へ。B君がこの頃また血を吐いて体が悪いので、寒がってしょうがありまへん。大きなふとん三枚やったら重いいうし、先生のあのふとんが丁度ええいいまんね」
「あきまへん」――冗談の口調でしたが少し腹が立って来ました。
「それやったら今度持って来ま、なんて、持って来られちゃ困るじゃないか。そんな血を吐いたような人の着ているものを黙って持って帰ってどうするのだい。そんなものは持って来なくてもいい、B君にくれてやるよ」
「へ」
「その代り、本はきっと頼むよ。――君、本は大丈夫なくなりはしないのだろうね」
「あります、あります。ちゃんと今も見て来ましたが。留守やから、宿の神さんが持ち出させませんのや。S先生の本やいうて友達は大切に、みんなに見せびらかして置いてあります」
「そうか。それじゃ頼むよ」
その次にまた一週間ほどして彼は遊びに来たが本は来ません。何でも、その友達というのはただ留守になっているのではなく、国元に用事があって二週間ほど帰っているということが、今日になってわかったのだそうです。