Classici giapponesi con furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.277 caratteri · 84 schermate
いよいよ奇異な思いがしながらドアをノックすると、なかからは
「何か?」
と閣下の声がしてドアが開いたから、
「そんなところで何をしていらっしゃいますの?」
「三郎がかえって来てここに居るからだ」
と指したが、もとより誰も居りません。
「そんな筈はないよ。三郎の足おとにポスがよろこんで吠え立て、ちぎれるほど尾を振って迎えたものだ。三郎がすぐピアノへ行って弾き出したのを聞いたから、寝床を出てみると、ピアノから立って来た三郎と、階段の下で行きあったから、無事で帰ったかと声をかけたが、三郎はいつものふきげんな顔つきで黙ってすれ違い、暗中をとっとと階段をのぼるうしろ姿を見失わないように追っかけると、自分の部屋ではなくここに入ったので急いで手さぐりにここへ来て見たのだ」と閣下がそんな事を云うので、
「あなた夢でもごらんになってるのでしょう」
と答えながら、わたくし自分こそ夢を見ているような気がしたものでした。そうして、もしほんとうに三郎がここにいるのなら夜中、こんな火の気もないところで寒くはないだろうかと思っていると、
「僕はもう寒くも何ともありません。お父さんやお母さんこそ、お風を召さぬようになさい」