Classici giapponesi con furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.277 caratteri · 84 schermate
(6)
すると塀の外でいつものように口笛でポスに合図をなさったので、ポスは尻尾をちぎれるほどに振り振り、霧のふかい半月の光のなかをおどるようにとびはね狂いまわってやみません。そのうちに母屋の方でピアノの音がしてくると、それに合唱するかのように、あの陰気なながなきをはじめて、夜どおしやめないでなきつづけたものでした。わたくしも気になっていつまでものぞいていましたが、ほんとうに昨晩はさびしい落ちつきのない夜でございましたね――木枯しは庭でざわざわいたしますし……」
と云うのであった。
(6)
閣下はその晩から毎日、三郎の夜ふけのピアノを待ちかね、あれほどうるさがったのが、うって変ったように大のピアノ好きになり、それに今までは全く忘れられていた二階の隅のもとの子供部屋に日夜入りびたりで、そこでは三郎の姿が生前のとおりにありありと見えるというのです。そう云えば、わたくしが出して置いた灰皿にもいつも灰やすいがらがたまっているのはわたくしにもよくわかりました。三郎は心配になるほどいつもひききりなしに煙草を吹かしている子で、山に行く時も食糧はみんな用意されているが、煙草だけは自分の吸い料に不足してはとポケットをふくらませて出かけた程でした。