Classici giapponesi con furigana
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たちあなひめ
たちあな姫
菊池 寛
Leggi たちあな姫 (たちあなひめ) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.540 caratteri · 21 schermate
露廃帝一家のことなどは、世界の人達がいつのまにか忘れてしまったように私も忘れて居ました。それは、確か、十月のある晩の事でした。その頃本郷の真砂町に引越して居た私は、妻と一緒に本郷の通に買物に行きました。三丁目の角の店屋で、妻が履物を買って居る裡に、私は何時も買い馴れた夕刊新聞を買いました。
私は、何心なく社会部面に目をやりますと、ふと其処に『エカテリンブルグの惨劇』と云う、二段抜きの表題が目に付きました。そして脇表題は『露廃帝一家の悲惨なる最後』と、付いて居ました。
私は、こうした記事に対しては、最初から面を反けて読むまいかと思いましたが、人間の好奇心はその事が残虐なれば、残虐なるほど尚唆られるものです。私は、不快な然しながら興奮した心持で読みました。それは、私が生れて以来読んだ色々な記述の中で、最も残忍な惨虐な事を、記したものであったかも知れません。露廃帝の一族が、エカテリンブルグのある家の地下室で、獣の如き過激派の手に依りて惨殺された実相が、可なり精細に書かれて居ました。その内の一節に『之等十一人の番兵は、毎夜皇女達を拉して階下に連れ行きて凌辱したるも、廃帝は之を如何ともし難かりき。