Classici giapponesi con furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Leggi 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.470 caratteri · 244 schermate
これでは、利根本流の鮎をはじめ、いろいろの魚族も、前橋の養鯉の池も、全く堪ったものでない。
それほど猛毒の持ち主である吾妻川でも、嬬恋村大前の下手あたりから上流には、日本一の山女魚が棲んでいるのである。青く銀色に冴えた肌、体側に、正しく十三個ならんだ紫ぼかしの小判形の斑点、頭のてっぺんにつけた円らかな眼、なんと山女魚は、華艶の服飾と、疎麗な姿の持ち主であろう。
利根川にも山女魚は棲んでいる。しかし、利根本流の山女魚は、胴の肉の厚みに乏しい。また脂肪も少ないだけに、どこか風味に物足らぬ。
ところが、吾妻川の上流である大前、大笹、鹿沢あたりで漁れる山女魚は、頭から尾筒に至るまで、むっちりと肥って、触れれば体温でもありそうだ。舌ざわり細やかな脂肪に富んで、串にさして榾火に当てれば、脂肪が灰に漏れ落ちる。
これは、吾妻川上流の水質が、山女魚の餌である川虫の生育に適し、これを山女魚がふんだんに食べているからであろう。支流の干俣川、地蔵川、熊川にも、姿の美しい味の立派な山女魚がいる。浅間山麓六里ヶ原を流れる地蔵川へ流れ込む小渓流赤川には、山女魚と亜米利加系の紅鱒との稚魚が棲んでいて、この味は、また別趣だ。