Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Leggi 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.470 caratteri · 244 schermate

Aozora Bunko

読み終えて、巻くともなしに手紙を掌に持ったまま、私の冥想は徐に、さまざまの方へ向かっていった。

そして最後に、なぜ日本人は純情であろう、かということが頭にうかんだ。窓外に、五月の緑風が、輝く若葉を繙いていく。

日本人の、純情を培ったものには、数多い素因があるであろう。

しかし、私が最も有力なる素因として感じているものに、国土の美しき風景、山川草木がある。つまり、潤麗にして、豊艶なるわが国の風景が、人々を純情に育てきたったのであろう。さらにそこへ一つ、郷党の親愛こまやかなる情合いをも、素因として加えたい。

この美しき国土を愛すればこそ、我々日本人は清いのである。晴温なる空の色、かぐわしき野の匂い、清楚な水の流れ、情味の芳醇な山の姿。どうして、こんないい国を亡ぼすことができよう。人々の抱くその感懐が伝統の強き情操に育まれきたったであろうと思う。

わが国土の「美」を決して他人に、蹂躙させまい。これなのだ。これが、日本人の力の泉であった。

人は、誰でも故郷を持つ、誰でも故郷に対する愛着の強さは、言葉ではいい現わせぬものがある。日本の国土全体を愛する執念と共に、我々は醇美なる故郷の自然に陶酔しているのである。