Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Leggi 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.470 caratteri · 244 schermate

Aozora Bunko

烏恵寿毛

いよいよ、私は食いつめた。

昔、故郷の前橋中学へ通うころ、学校の近くに食詰横町というのがあった。五十戸ばかり、零落の身の僅かに雨露をしのぐに足るだけの、哀れなる長屋である。

住人は、窮してくると、天井から雨戸障子まで焚いてしまう類であったから、一間しかない座敷のなかの、貧しい一家団欒の様がむきだしだ。そこで、現在の戦災後の壕舎生活と、この食詰横町の生活と、いずれが凌ぎよかろうかと、むかし学生時代に眺めた風景を想い出して比べてみると、地表に住んで直接日光の恵みに浴するとはいえ、横穴の貉生活の方が、戸締まりがあって寒風が吹き込んでこないだけ結構であろう。

ところで、われわれ学生は、食詰横町を通るたびに、

おいおいお前、試験のときカンニングはやめよ。

と、連れの学友にからかうのである。

嘘つけ、僕なんぞカンニングはやらないよ。やったのは君だろう。

白々しいや。この間も、僕の見ているところでやってたじゃないか。

あの時、ただの一度さ、はじめのおわりだ。

それならいいが、カンニングが癖になって世の中へ出てからも、カンニングをやるとひどいことになるぞ。

どんなことになる。