Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つばくろ

つばくろ

山本 周五郎

Leggi つばくろ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.987 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

生命と若さの溢れるような、みずみずしい妻の姿に、高雄は初めて女の美しさをみつけたような気がした。

「――そのおまえが、……おいち、そのおまえが、おれの知らないところで……」

高雄は眼をつむったまま、そっとこう呟やいて、苦しさに耐えないかのように、喘いだ。

廊下を妻の来るのが聞えた。

その足音はいつもの妻のものではなかった。弱々しく躊らいがちな、爪尖で歩くようにさえ聞えた。高雄は妻が坐るまで黙っていた。それから眼をあいて岳樺の枝を見あげ、薄く霞をかけたような空の青を眺めた。

「――おまえにききたいことがある」

彼は妻に背を向けたままで云った。

「――私もききにくいし、おまえも答えにくいだろうと思うが、とにかく、正直に返辞をして貰いたい」

おいちははいと云った。低くかすれた声ではあるが、すでに覚悟をきめたという響きがあった。高雄は挫けそうになる自分に鞭を当てる気持で、思いきって妻のほうへ向きなおった。しかしそのとき、廊下をばたばたと大助が走って来た。

「たあさま、かあかん、ちばめよ、ちばめがおちかけたのよ、ちばめのおちよ」

まわらない舌で叫びながら、走って来て、母親の肩を掴み、昂奮して赤くなった顔で父を見て、せいせい息をきらして云った。