Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つばくろ

つばくろ

山本 周五郎

Leggi つばくろ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.987 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

父親の幸助もそれに同意とみえて、かなりいい縁談にもはかばかしい返辞をしなかった。

――久尾の家名などといっても、しょせんは高の知れた小足軽のことだし、へんな者を婿にして、ゆくさきおいちに苦労させるのも可哀そうだから。

卒中でよく舌のまわらない幸助は、そんなふうに云ってどの話しをも断わった。……その頃は世の中が一般に爛熟期といったぐあいで、貧富の差もひどく、人情風俗も荒れていた。貧しい多数の人たちが餓えているのに、富裕な者はその眼の前で贅沢三昧をして恥じない。武家でも富んだ町人から持参金付きの嫁や婿を入れて、それがさほど稀なことではなくなっていた。……男女間の風紀などもとかく紊れがちで、いろいろといやな噂さが多かった。幸助が婿養子の話しに乗らなかったのは、こういう世相から推して、来て呉れる人間に信頼がもてなかったらしいのである。

おいちが十五歳の春に幸助が死に、ほんの三月ほどして、あとを追うように母も亡くなった。その少しまえから、おいちは縫い物や解き物をしに、紀平の家へしばしば来た。高雄は知らなかったが、母の伊世がひじょうな気にいりで、特別にひいきだったらしい。