Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぼみ

つぼみ

宮本 百合子

Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

うす青の傘の柄を小指だけ一本ぴょんとはなして居る形がどうしてもあの人らしい。わり合に色が黒くって指の先の一寸内に曲ったところなんかが間違いなくそうらしく思われた。一寸も動かない片手では何かにぎって居るらしい。私は今の袂の下から首を出した。――そうだ――私は、そうっとかくれる様にすりぬけてあの人の目の前に立った。「マア、……」一寸腰をうかせて長い袂をひざの上に組みなおして左の手にもって居た巻いたものをもちなおした。

「ほんとにしばらく、――いつあっちからかえっていらっしゃった、……」

「おととい、……思いがけなかった事ほんとに、これから東片町に行くから一緒にネ、そこまで……」

ほっぺたを赤くして彼の人は云った。

「今どこにいらっしゃるの、林町と東片町には居ないって云ってらしてたから、……」

「あとで……晩に上りましょう」

「晩まで御楽しみにして置いて……」

それから、私達は、だれでも、あいたいと思ってる人にフイに思いがけない様な時に会った時にする様な、あとでキットくやしくなるとりとめもない話をして笑いながら牛肉屋の角で分れてそれから私は走る様にして家に帰った。