Classici giapponesi con furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate
マアほんとうに夜になるのが待ち遠しかった事、私は、夕飯をしまうとすぐ門のところへ出て丈の高いあの人の姿の夕やみの中にうくのをまちあぐんで居た。長い矢がすりの袂をヒラヒラさせてしなやかな足つきをしてあの人は私の目の前に立った。二人は、笑いながら敷石をかたかた云わせて私の部屋に入った。先にあの人がここに来た時よりもって居る私の本は倍ほどにふえて居た。
「マア、随分、あつめた事、……私なんかこの頃いそがしい思をしてばっかり居るんだから……」
こんな事をあの人は云ってこの頃少しふとった肩を両手でおさえた。
「御楽しみを早く教えて――」
「云いましょうか、でも何だか、一寸云いにくい事なんだけれ共……私今嘉久子の家に居るの、弟子の様になって……」
斯う云ってあの人は私がどんな事を云い出すかと思うて居るらしく、うす笑いをしながら私の目を見て居る。
「とうとう……でもいいでしょう、自分の望んで居た事なんだしいろんな事が都合よく行って居るんなら……私だってきらいな事じゃなし……」
私は、こんな事を云った。
「外の人が聞いたらキット何とか云いましょうネ、でももう、何んて云われたってかまわないけれ共……貴方さえ気にしなけりゃあかまいやしない……」