Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Leggi つゆのあとさき di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.725 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

君子さんなんかはこれからだ。これから先ほんとうに世の中の味がわかって来るんだよ。田舎へ帰るなんて、先刻そう言っていたけれど、半月といられるものか。おれ見たようになっても、赤い布団を見たり、一杯飲んでぽうッとすると、やっぱりむらむらとして来るからな。」

「おじさん。もうすっかり堅くなっておしまいなのね。」

君江は川島が出獄して後現在どうしているのかきいて見たいと思いながら、あけすけには問いかねて遠廻しにこう言って見たのである。川島は大分好い心持になったと見え、調子もいくらか元気づいて、「無い袖は振れないから一番いいのさ。娑婆へ出てから、乞食も同然、お酒どころか飯も食えない事があったよ。倅が丈夫でいたらどうにか力になるんだがね。おれがあっちへ行っている中に肺炎で死んでしまうし、嚊は娘と一緒に田舎へあずけてある始末だ。まだ四、五年たたなくっちゃ芸者に売る事もできないのさ。以前世話をした奴らに頼んだら、どうにかしてくれない事もなかろうが、それほど耻を晒して歩く位なら一思に死んだ方がまだしもだよ。君子さん、今夜の事はあの世へ行っても……おじさんは忘れないでお礼を言うよ。