Classici giapponesi con furigana
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どらねこかんさつき
どら猫観察記
柳田 国男
Leggi どら猫観察記 (どらねこかんさつき) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5670 caratteri · 12 schermate
三
冬も暖かな羅馬の古都などは、風来人の自然の隠れ家であるのみならず、同時に又宿無し猫の楽土でもあった。此事はもう誰かの紀行に書いてあるかも知れぬが、フォラムを始めとして市に接した大小の廃址は、悉く彼等の領分であって、倒れ横たわる聖火神殿の石柱の上にも、新たに掘り出された旧王の塚穴の中にも、いつ往っても人を見て跳り逃げる彼等の姿を、見ない日は無いのである。カピトルの岡の北の麓、今の朝家の第一世帝の記念塔の傍に、壮大な残骸を留めたトラジャン館址の如きは、周囲が高い石壁で攀じ降ることが難い為に、数十の野ら猫が常に悠々として遊んで居る。蛙とか蜥蜴とかいうものを食料として居るのだろう。何れも人間からは独立して、自在に新たなる社会を作りつつあるように見える。行く行く此種族の共同生活が、伊太利の特殊の環境に促されて、如何様に展開して行くものであろうか。後年或はこの問題の興味の為のみに、所謂久遠の都府を訪い来る者が無いとは言われぬ。
三
猫と人間との最初の交渉、はたこの動物の分布の経路等に関しては、今尚闡明せられざる歴史の隈が多い。それにも拘らず再び彼等の眼から見れば、奈何ともする能わざる偶然の原因に基づいて、その文化が激変をしようとして居る。