Classici giapponesi con furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate
両側には楢や栗や櫟など、落葉樹の林があり、また古い松林や杉並木の断続するところもあった。道は丘を幾つもまわったり越えたりするが、丘の上をゆくときは眺めがよかった。左側には伊※(「田+比」、第3水準1-86-44)川の流れがあり、右には緩い傾斜の段丘平野がひらけて見えた。そこには田や畑や、防風林に囲まれた小さな部落や、森や林などが遠く近く展望された。
下り鮎の季節になったとか、山女魚がしゅんであるとか、母が手紙に書いてよこしたのはその伊※(「田+比」、第3水準1-86-44)川である。また松茸やしめじが出はじめたとか、蕨採りにいったなどという取手山も近くに見えた。その眺めのなかにいると心が安らかにおちついた。その眺めは第二を慰めて呉れるようであった。気が向けば河原へ下りて半日も水を見ていた。林の中に幾時間も坐って鳥の声を聞いた。また宇野の部落の、道が三つ叉になっている辻の掛け茶屋で、茶店の老人と話したり、古朽ちた低い家並や、小石混りの乾いた白い道を眺めたり、山を越えてゆく人や馬をぼんやり見送ったりした。
十月中旬の或る日、彼はその道を城下のほうへ向って歩いていた。