Classici giapponesi con furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate
やや強い北西の風が吹いて、落葉が頻りに舞っていたが、その落葉の中をうしろから激しい馬蹄の音が近づいて来た。第二が道の脇に身をよけると、同藩の者だろう、遠乗りの戻りとみえる五人の侍が、次ぎ次ぎと彼の前を駆けぬけた。茸の入っているらしい籠を鞍に付けている者や、みごとに紅葉した楓の枝を持っている者もいた……かれらは第二の前を駆け去ったが、そのなかの四番めにいた侍が、馬を返して戻って来た。
「第さんじゃないか」
相手は彼の前へ来てそう呼びかけた。笠を冠っているのでわからなかったが、それは藤島英之助であった。第二は黙って相手を見あげた。英之助はやや肥えて、まえより眼が大きく鋭くなったようにみえた。
「いろいろ話がある、今泉へは訪ねてゆきにくいんだが、いちど来て呉れないか、しのも心配して逢いたがっているが」
「馬を下りたらどうだ」
第二の声は刺すような調子だった。
「馬上から話しかけるほど身分が違うわけでもあるまい、但し馬を下りることはないんだ、おれは話は聞かないからね」
英之助は馬を下りた。しかし第二はもう歩きだしていた。英之助は黙ってうしろから、馬を曳いてついて来た。