Classici giapponesi con furigana
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ひょっとこ
ひょっとこ
Leggi ひょっとこ di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5838 caratteri · 12 schermate
それから踊っている内に、船の中へころげ落ちて、死んだ事は、前に書いてある。船の中の連中は、皆、驚いた。一番、驚いたのは、あたまの上へ落ちられた清元のお師匠さんである。平吉の体はお師匠さんのあたまの上から、海苔巻や、うで玉子の出ている胴の間の赤毛布の上へ転げ落ちた。
「冗談じゃあねえや。怪我でもしたらどうするんだ。」これはまだ、平吉が巫山戯ていると思った町内の頭が、中っ腹で云ったのである。けれども、平吉は動くけしきがない。
すると頭の隣にいた髪結床の親方が、さすがにおかしいと思ったか、平吉の肩へ手をかけて、「旦那、旦那…もし…旦那…旦那」と呼んで見たが、やはり何とも返事がない。手のさきを握っていると冷くなっている。親方は頭と二人で平吉を抱き起した。一同の顔は不安らしく、平吉の上にさしのべられた。「旦那……旦那……もし……旦那……旦那……」髪結床の親方の声が上ずって来た。
するとその時、呼吸とも声ともわからないほど、かすかな声が、面の下から親方の耳へ伝って来た。「面を……面をとってくれ……面を。」頭と親方とはふるえる手で、手拭と面を外した。
しかし面の下にあった平吉の顔はもう、ふだんの平吉の顔ではなくなっていた。