Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
もののかげ
ものの影
豊島 与志雄
Leggi ものの影 (もののかげ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8794 caratteri · 18 schermate
木炭の空俵や、藁束や、新聞紙などを、夥しく積み上げて、それに火をつけ、その火種をあちこちに投げ散らして、葦を焼いてるのだ。葦はまだ霜枯れておらず、容易に燃えないのを、田中さんは懸命に燃やそうとしている。
集まってきた人々は驚いて、田中さんを制止しようとしたが、なかなか言うことをきかなかった。衆人を全く無視した態度で、そして凄い形相で、黙々として火を燃やし続けてるのである。
その朝、彦一は珍らしく早く眼を覚した。彼の職業は保険会社の外交員で、時には小さな劇場の演出を手伝い、また稀に詩を書いていた。詩作は一文にもならず、芝居の方からは僅少な不時の収入があり、生活は主として外交員の仕事で立てていたが、彼にとっての重要さは、全くその逆だった。保険会社の外交員ほど下らない職業はないと思って、その職業を選んだのである。随って、仕事に勤勉でも忠実でもなかった。朝は遅くまで寝ていた。
ところがその朝、なにか気にかかる心地がしたし、室外の空気にざわめきが感ぜられたので、寝床の中に落着けず、起き上ってみた。そして田中さんの一件を知った。
彼は服装をととのえるとすぐ、一本松のところへ駆けつけた。