Classici giapponesi con furigana
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もののかげ
ものの影
豊島 与志雄
Leggi ものの影 (もののかげ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8794 caratteri · 18 schermate
そんな奴に出合ったら、誰だって張り倒してやりたくなるに違いない。僕だってそうしますね。」
「それにしても、石で頭を打ち割るなんて、どういうもんですかね。」
「それは、時のはずみでしょう。」
「いくら時のはずみにしても、少し残酷すぎはしませんか。前から怨みでも含んでおればとにかく……。あなたの説によれば、犯人はただ通りがかりの者にすぎないことになりますね。」
「そうです。」
「すると、あの少年は、張り倒されたとたんに、自分から頭を石にぶっつけたとも見られますね。それも、倒れるはずみにですよ。そうすると、他殺とは言えませんね。」
「いや、僕は他殺説を執ります。」
彦一は言い切って、不快そうに口を噤んでしまった。
新聞の報道はだいたい二回きりで、途切れた。詳報も結論もなく、潮が引いたような工合で、空白な浜地だけが残った。その浜地に、彦一は身を曝してる感じがした。
潮が引けば、貝は口を閉じる。彦一も口を閉じて、一本松事件に触れることを避けた。
不用意に、ずいぶん危険な行動をしてきたものである。アパートに来るいろんな新聞をあさり読むばかりか、際どいことまで公言してしまった。