Classici giapponesi con furigana
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アパートのさつじん
アパートの殺人
平林 初之輔
Leggi アパートの殺人 (アパートのさつじん) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.579 caratteri · 39 schermate
私のその時の服装ですか、いま着ているこの茶縞の背広の上に、このオーバー・コートを着ていました。髪も今のとおりのオールバックにして、髭はきれいにそっていました。靴もやっぱり今はいているエナメルの靴で、買いたてのようにきれいにみがいてありました。
「お安くないね、二十分も寝室で密談するなんて? ファンだなんて、あやしいもんだな」
むろん私はじょうだんにそんなことを言ったのです。私は彼女がほんとうに愛してるのは私だけだということは以前からずっと信じていたし、今でも信じているんです。ことに相手が野蛮な野球のチャンなんかでは、真面目にからかうのさえ、沽券にかかわるとさえ思ってたんですから。
「××倶楽部の捕手をしてるのよ。知ってるでしょうあんただって。ずいぶん野球はおすきなんだから」
「そうか、あの男か、あれが君のファンとは驚いたね。あの無骨な男が、映画女優のアドマイヤラー〔恋人、求婚者〕だなんて、可愛いとこがあるね。とても熱心らしいじゃないか?」
私は苦笑しながら言いました。苦笑いなんかしまいと思っても、ひとりでに唇がまがるもんだから、仕方なしに笑うのです。