Classici giapponesi con furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Leggi オンチ di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.673 caratteri · 42 schermate
「ウン。犯人は地下足袋を穿いとったって俺あ云うたが……」
「ウン。俺も地下足袋だと云ったがなあ」
「犯人が木工場へ這入るとコスモスの処を風が吹いたなあ」
「馬鹿。そんな事を云ったのかい」
「見た通りに云えと云うたから云うたてや」
「アハハハハハ犯人とコスモスと関係があるのかい……馬鹿だなあ」
「アッ。そうだ。あの菜葉服の野郎が白いハンカチで汗を拭いたって事を云い忘れてた」
と云ううちに三好が唇を噛んで警察の方向を振り返った。
「ウン。そうじゃそうじゃ。そういえば俺も思い出いた。云うのを忘れとった。四角に折ってあったなあ」
又野が、悪い事をした子供のように肩を窄めた。その横で戸塚が冷笑した。
「アハ。汗を拭くのは大抵ハンカチにきまってるじゃねえか」
「ウン。それもそうじゃなあ」
「しかし出来るだけ詳しく話せって云ったからな」
「ウン。それあそう云ったさ。しかしハンカチ位の事あ、どうでもいいだろう」と戸塚が事もなげに云い消した。三好が頭を掻いた。
「そうだろうか」
「そうだともよ。ナアニ。じきに捕まるよ。指紋てえ奴があるからな」
「木工場も鋳物工場の奴等も、呉工廠から廻わって来た仕事が忙がしいので、犯人が通ったか通らないか気が付かなかったらしいんだな。