Classici giapponesi con furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Leggi オンチ di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.673 caratteri · 42 schermate
しかしそれでも又野は中野学士の背中を離さなかった。中野学士も又野の両腕にシッカリと抱き付いたまま膝から下を燃やしていた。
近付いて来た足音が、その上で立止まった。
「ここだここだ。ワッ。臭いッ」
「ウア――。大変だ。人間が焼け死によるぞッ」
七
暁の光りと、明け残った半月の光りが、雪のように真白な大地の霜を、静かに照していた。
星浦駅前の砂利だらけの広場に、淡い影法師を落しながら、鼈甲縁の眼鏡をかけた三好がスタスタと遣って来た。とても職工とは見えないスマートな茶縞の背広服に黒い冬オーバーの襟を深く立てて、左脇に四角い新聞紙包みをシッカリと抱えている。
一番汽車に乗るつもりであろう。暗い待合室に這入ったが、まだ時間が早いし、切符売場の窓が開いていないので、ちょっと舌打をしたまま悠々と出て行こうとした。その序に、黄色い電燈に照らされた待合室を見まわすと、ギョッとしたらしく立止まった。
改札口に近い右手の片隅には、青いネルの布片に頬冠りをして毛布で身体を包んだ老婆が、シッカリとバスケットに獅噛み付いて眠っていた。
その反対側の入口に近い処に、全身を繃帯で真白に包んだ、スバラシク巨大な大入道が、腰をかけていた。