Classici giapponesi con furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Leggi カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.864 caratteri · 93 schermate
妻は慳貪にこういって、懐から塩煎餅を三枚出して、ぽりぽりと噛みくだいては赤坊の口にあてがった。
「俺らがにも越せ」
いきなり仁右衛門が猿臂を延ばして残りを奪い取ろうとした。二人は黙ったままで本気に争った。食べるものといっては三枚の煎餅しかないのだから。
「白痴」
吐き出すように良人がこういった時勝負はきまっていた。妻は争い負けて大部分を掠奪されてしまった。二人はまた押黙って闇の中で足しない食物を貪り喰った。しかしそれは結局食欲をそそる媒介になるばかりだった。二人は喰い終ってから幾度も固唾を飲んだが火種のない所では南瓜を煮る事も出来なかった。赤坊は泣きづかれに疲れてほっぽり出されたままに何時の間にか寝入っていた。
居鎮まって見ると隙間もる風は刃のように鋭く切り込んで来ていた。二人は申合せたように両方から近づいて、赤坊を間に入れて、抱寝をしながら藁の中でがつがつと震えていた。しかしやがて疲労は凡てを征服した。死のような眠りが三人を襲った。
遠慮会釈もなく迅風は山と野とをこめて吹きすさんだ。漆のような闇が大河の如く東へ東へと流れた。マッカリヌプリの絶巓の雪だけが燐光を放ってかすかに光っていた。