Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひきょうもの

カインの末裔

有島 武郎

Leggi カインの末裔 (ひきょうもの) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.876 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

とはきはき言って退けた。彼にはこれは実に意外の言葉だった。父は黙ってまじまじと癇癪玉を一時に敲きつけたような言葉を聞いていたが、父にしては存外穏やかななだめるような調子になっていた。

「なにも俺しはそれほどあなたに信用を置かんというのではないのですが、事務はどこまでも事務なのだから明らかにしておかなければ私の気が済まんのです。時刻も遅いからお泊りなさい今夜は」

「ありがとうございますが帰らせていただきます」

「そうですか、それではやむを得ないが、では御相談のほうは今までのお話どおりでよいのですな」

「御念には及びません。よいようにお取り計らいくださればそれでもう結構でございます」

矢部はこのうえ口をきくのもいやだという風で挨拶一つすると立ち上がった。彼と監督とは事務所のほうまで矢部を送って出たが、監督が急がしく靴をはこうとしているのを見ると、矢部は押しかえすような手つきをして、

「早田君、君が送ってくれては困る。荷物は誰かに運ばせてください。それでなくてさえ且那はお互いの間を妙にからんで疑っておいでになるのだ。しかし君のことはよくお話ししておいたから……万事が落着するまでは君は私から遠退いているようにしてくれたまえ。