Classici giapponesi con furigana
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チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
Leggi カシタンカ・ねむい 他七篇 (チェーホフのたんぺんについて) di 神西 清 (じんざいきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.418 caratteri · 92 schermate
どうしてこの愛すべき滑稽な登場者を、拍手をもって喜び迎えてやる気になれないのか。ラネーフスカヤ族も亦、曾てはそのようなちぐはぐな身なりをして、歴史の舞台に登場したのではなかったか。どうしてこれが喜劇ではないのか。チェーホフとしては解けぬ謎だったに違いない。だがやがてそのロパーヒン族にも、「桜の園」から出てゆく日が来るにちがいない。未来の夢にばかり耽っている万年大学生族が、この園の次の主人になれるかどうかは些か疑わしいが、とにかく又してもちぐはぐな恰好をした真面目で滑稽な勤労者が登場して、何代か後のマダム・ロパーヒナはその美しい髪をふりみだして泣き崩れるだろう。だから今こそロパーヒンを祝ってやるがいい。どうしてこれが喜ばしい祝祭劇でないのか。舞台が空っぽになって、そこここのドアに錠をおろす音が聞え、やがて馬車の出る音がし、あとは静かになる。やがてその静寂のなかに、桜の木を伐り倒す斧のにぶい響きが伝わってくる。なぜ人はそれを弔鐘と聞くのだろうか。それは一つの進化を告げる祝祷の調べではないか。なんでそれをわざわざ悲劇に仕立てる必要があるのか。そこがチェーホフには何としても合点が行かなかったに違いない。