Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.767 caratteri · 54 schermate
五人は、河原の涼しいところに坐ってお弁当をひらく。
四人とも、ひどく腹をすかしていてむやみにたべる。やっこらしょと下げてきたたくさんのおむすびが、たちまちなくなってしまう。
午飯がすむと、ちょっと一服する。誰も大してはずんだようなようすは見せないが、すくなくとも、不愉快そうではない。煙草の煙りをゆっくりと吹きだしながら、重い口で冗談めいたことをボツリボツリといい合う。以前にくらべると、これだけでもたいへんな変化だった。
三枝氏が、むずかしい顔をして考え込んでいたが、何か重大な感想でも打ち明けるような口調で、
「要するに、われわれは、毎日ピクニックをしているようなものだね」
と、いった。ピクニックという言葉がおかしかったので、みな、クスクス笑いだした。
三枝氏が、まじめな顔でつづけた。
「……これが、単なる昼食でない証拠に、こんなふうにしていると、なんとなく歌でもうたい出したいような気持になる。奇態なこともあればあるものだ。……たしかに、なにか変調が起きたのにちがいない」
キャラコさんは、お弁当の殻の始末をして崖の上にあがってゆく。が、夕方までぼんやりしているわけにはゆかない。