Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.444 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

せめて、放って置いてでもくれたらと思うのに、あれこれと気を揉んで、いっしょうけんめいに世話をやく。

「そうそう、首のとこなんかも、よく拭きなさい。……いっそ、服なんかひ※脱いでおしまいな」

「それじゃ、裸になってしまいますわ」

「裸になったっていいじゃないか。よその家じゃあるまいし」

何を思い出したか、急に膝を打って、

「そうそう、まだ、話さなかったね、そら、このお正月。……れいの遺産相続の騒ぎのとき。……あたしゃ、じぶんで玄関にがんばっていて、ひとりずつ新聞屋を追っ払ったんだよ。……もちろん、写真もあれば、居どころも知っているが、新聞などでワイワイ騒がれちゃあの娘の身上に瑕がつく。そうまでして、お前さんたちに義理だてするいんねんはない※だから、まごまごしないで、とッとと帰っておくれって、ね……」

そういって、その時のようすが見えるような真剣な顔つきをする。見ていられなくなって、キャラコさんは、思わず眼をつぶった。

(おばさま、ごめんなさい……)

恥と、すまなさの感情で、もうすこしで、何もかも打ちあけてしまうところだった。

でも、それでは、悦二郎氏が隠しておきたいことを犠牲にして、自分だけがいい児になる結果になると思いついて、危ないところで踏み止どまったが、良心のほうは、一向楽にならなかった。