Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
レエヌさんのお父さまは廿年も前にカナダから来たフランスの学者で、日本で結婚をしてそれから幾年もたたぬうちに亡くなられたということで、レエヌさんは、学校では、母かたの姓を名乗って、木村礼奴といっていた。
そのころのレエヌさんはロオレンスの絵にある少女のように美しかった。眼が深く大きくて海のように碧く、皮膚が冷たくさえて、いつも月の光をうけているようなふしぎな感じを与えた。すばらしく勝気な、固苦しいほど熱心な勉強家で、いつもキャラコさんと首席を争っていた。決してうちとけないひとで、こちらでどんなに愛想をよくしても、ちょっと微笑をかえすだけで、頑固に孤立をまもって、いつも校庭の隅で、ひとりでブウルジェなどの小説を仏蘭西語で読んでいた。
家庭的にたいへん不幸なひとらしく、保羅という、やはり混血の兄がひとりいるということのほか、自分の家庭についてはなにひとつ話さなかった。家も横浜にあるというだけで、横浜のどこに住んでいるのか誰れにも知らさなかった。
級では、礼奴さんがお母さんと二人で、横浜の海岸通りで酒場をやっているのだという噂が伝説のように信じられていた。