Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
小説の焼き直しよ。……ほら、これが種本さ」
といいながら、枕元から薄っぺらな仏蘭西語の本をとりあげると、肩ごしにキャラコさんの膝の上に投げてよこした。
Marcel Proust "La confession d'une jeune fille"(マルセル・プルウスト『少女の懺悔文』)という標題がついていた。最初の頁のはじめのところに、乱暴にグイグイと赤鉛筆で線がひいてある。
キャラコさんが、たどりたどり読んで見ると、さっきの手紙と同じ書き出しがあった。
……ようやく、解放の時が近づきつつあります。あたくしは、たぶん不器用にやったのです。引き金のひきかたが……
この最初の二行を使って、あとはいい加減に書きそえたものだった。
レエヌは、上眼づかいでジロジロとキャラコさんの顔を見上げていたが、唇のはしを妙なふうに歪めて、
「どう。感動した? ……と、すると、プルウスト氏にお礼をいっていいわけね」
キャラコさんは、しずかにレエヌさんの顔を見かえす。病気でながらく床についていたこの気の毒なひとは、小説を読んで、想像の中でさまざまに自分の境遇を変えて気晴らしをしているのかも知れない。