Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.819 caratteri · 36 schermate
久世氏は、どんな身軽な猟師だって、こうまでうまくはやれまいと思われるほど、す早くボクさんをつかまえて腕の中へ抱きしめてしまいました。
どちらも何もいうことは要らなかったのです。ボクさんは泣きましたが、久世氏は、とうとう我慢し通したようです。二人の上に月の光がさしかけて、まるで、ジェンナの親子の、あの有名な塑像のように見えましたよ。
久世氏は、最初は、このままだまってボクさんを連れてゆくつもりだったらしいのですけれど、落ちつくにつれて、それは、あまりほめた仕方でないと思ったのでしょう。ボクさんに、明日の朝、かならず、ママと仲なおりをしにゆくと、いくどもいいきかせておりました。
そのうちに、利江子夫人が帰る時刻になりました。あたしは、気が気ではありませんでしたの。こんなところを見られたら、夫人がまたつむじをまげて、せっかくの和解もだめになってしまうだろうと思って。
あたしが、そういいますと、久世氏も、ようやくなっとくして、渋々、ボクさんを離しました。ボクさんは、駆けて行っては、また戻って来て、
「明日ですね、パパ。……あすの朝ね」
と、同じことを、いくどもいくどもくりかえしてから、あきらめたように、しおしおと歩いて行ってしまいました。