Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.819 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

「ぼく、ほんとうに、うれしいの!……ボク、これで、まる三日もひとりきりでしたから」

おどろいて、あたしが、たずねました。

「ひとり、って、女中やさんもいないの?」

「ええ、誰れもいませんの。ボクひとり。……ママは女中やを置くのきらいなんです」

「ねえやさんもいないとしたら、あなた、御飯なんか、どうなさるの」

少年は、なんだそんなこと、というふうに、

「ママが、麺麭を置いてってくれますから、だいじょうぶ。……でも、ママ、時々ボクのことを忘れて、二日も三日も帰って来ないことがありますの。すると、ボク、とても困るの、お腹がすいて。……でも、もう、馴れているから平気です。そんな時は、動かないで、じっとしているの。こんなふうに、息をつめて……」

なるほど! たいしたもんですわね!

こういうのが欧羅巴ふうなんだと、自慢らしく公言してはばからないという、傍若夫人の奇抜な利己説は、世間では有名すぎて、もう古典になりかけているのだそうですが、なるほど、評判だけのことはあるようですわ! 子供には黴のはえた麺麭をあてがっておいて、じぶんは毎日遊び狂ってあるくというのは、たしかに、趣味のいいことにちがいありません。