Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.012 caratteri · 48 schermate
紳士は比類のない丁寧な口調でそれを断わると、白い長い指でキリアジを取り出してゆっくりと火をつけた。
蒼白い広い額のしたに煙ったような黒い眼があって、熱情と沈鬱をあらわしている。頬は丁寧に剃られて子供の頬のようにつやつやと光っていた。なんともいえない気品のある鼻と、かたちのいい唇をもっている。顔にはどこか疲れたような色があるが、それは、このすぐれた面ざしに一層の深味をあたえ、たとえようのないメランコリックな美しさをつくりあげていた。
しかし、このやんちゃなお嬢さんたちが、いつまでもそうはにかんでばかりいるわけはなかった。チビの鮎子さんがまず口を切ると、あとは乱脈になって、みな、むやみやたらにしゃべりだした。
ところで、梓さんだけは、たいへんにすましている。どうやら、この山小屋の主人としての品格をたもとうとしているらしかった。
自己紹介をかねたおしゃべりが一段落つくと、話題はスキーのことに移っていった。
紳士は登山家でもあるらしく、グラン・コルニエやエクランに登ったというような話をした。
みなアルプス登山の話を根掘り葉掘りききだした。話の興味よりも、すこしでも長くひきとめておこうという計略らしかった。