Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.012 caratteri · 48 schermate

Aozora Bunko

画の上手なトクさんが、

「渋いや」

といって、てれくさそうに舌を出した。

「水臭いだけだ」

と、梓さんがやりかえした。おしゃまのユキ坊やが、

「でも、蓬の匂いがするよ」

というと、詩人の芳衛さんが、

「あら、菫の匂いよ」

と、抗議した。それから、めいめいいろんな匂いを持ち出して金切り声で主張し合った。

キャラコさんも、だんだん愉快になって来て、みなと頭をくっつけ合わせて、笑ったりしゃべったりした。

窓のそとの大きな星を眺めながら、ピロちゃんのハーモニカに合わせて合唱をした。

『ロッキーに春がくれば』という歌が気に入って、いくどもいくどもくりかえして唄った。そして、みな、涙ぐんだ。

間もなく、眠くなった。

煖炉のそばでごろ寝したがるのをお尻をたたいて二階へ追いあげ、二人ずつひとつの寝台へ押し込んで丁寧に毛布でくるんでやった。

キャラコさんは、梓さんと二人で仲良く寝床へ入った。山の中の夜はしんとしずまりかえり、遠い雪山が青く光っていた。

二

空はクッキリと晴れているし、雪質は申し分ないし、キャラコさんは午前ちゅう夢中になってすべった。

昼食がすむと、みなは志賀ヒュッテまで遠征することになった。