Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

Leggi ジロリの女 (ジロリのおんな) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.597 caratteri · 102 schermate

Aozora Bunko

けれども、それを意識せず、あげて私への侮蔑となって表れてくる。

ところが、この恋が、却々うまく行かないのだ。

大浦種則は美代子さんだけが欲しい、ビタ一文欲しいわけではないと仰有る。

ところが、兄の博士が、ドッコイ、そうは勝手にさせられませぬ、と膝を乗り入れてきた。当節、学者の生活ほど惨めなものはない。医学部教授はまだしもヨロクがあるとは云っても、タカの知れたもの、酒タバコの段ではなく、必要のカロリーも充分にはとれぬ。本も買えぬ。火鉢の炭のカケラにまで御不自由のていたらくで、かねて多少の貯えなどもインフレと共に二束三文に下落して、明日の希望もないようなものだ。

弟の種則には分けてやる一文の財産もなく、礼服一着こしらえてやれぬ。花嫁の然るべき持参金が頼みの綱であるから、富田病院という名題の長者の一人娘に持参金もないような、そんなベラボーな縁談には賛成するわけに参らぬ、と仰有る。もとより、美代子の思いが充分以上に種則に傾いたのを見越した上で、潮時を見はからって、膝を乗り入れてきたのである。

だいたいが、婚姻政策というものは、政治家や官僚以上に、学者に於て甚しいものだそうであるが、大浦博士に至っては、結婚と持参金、あたりまえときめてかゝった殿様ぶり、天下泰平、オーヨーなものだ。