Classici giapponesi con furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Leggi スウィス日記 (スウィスにっき) di 辻村 伊助 (つじむらいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 216.275 caratteri · 410 schermate
スウェターコートのかくしに手を入れると、さあしまった、山刀が無い、折角頂上で撮したフィルムを三巻入れといたサックが無い。
「おい! メッサー、メッサー、縄を切らなきゃ危いぞ、メッサーったら、早くよこさないか! おい!」
ぼんやりしていたフォイツの小刀を引ったくって、身体にぐるぐる巻きついていた縄を、ずたずたに引ったぎって、四人とも離れ離れになった。近藤君は足が少し痛むって、鷺のように片足で立っている。見ると右の手先からポチポチ血がしたたって、雪の上に散ってゆく、私は今まで、頸に巻いていた手拭――高野君が物好きに、わざわざ小包で伯林まで贈ってよこした、幸四郎の手拭を破って、取り敢えず繃帯をしてやったが、血を拭くと肉が破れて骨が白く表われている。
「杖の紐が巻きついてて、振りちぎったものだから……いいやそんなに痛かない」
こんな際だから、まさか負け惜しみでもあるまいが、骨が出てるのに痛くないなんて、先生余程面喰ったと見える。ふと気がつくと、人のことは云えない、矢っ張り随分面喰っていたんだ、今迄ついぞ、気にもとめなかったリュックサックは、雪解け水でずぶずぶに濡れたまま、まだ振り切れずに、背中にしっかり喰っ付いている、早速とり出して、写真機のレンズを更ためると、幸に疵もついていない、フィルムは撮し残りがたった二枚