Classici giapponesi con furigana
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ドーヴィルものがたり
ドーヴィル物語
岡本 かの子
Leggi ドーヴィル物語 (ドーヴィルものがたり) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.723 caratteri · 44 schermate
――……………………。
――私、どうしても嫌いな男や、私に何も呉れ無かった男にはいくら最後でも何にも遣る気はしないけど、あなたは可成、私の望みにかなって下さったわね。ムッシュウ・小田島。
小田島は更に赫くなった。
――私あなたにお礼をするわ。今日十時半から十二時までの間…………私あなたのお部屋へ訪ねて行くわ、ね、よくって? 小田島。
八
突然、イベットに永訣しなければならなくなった世にも憐れな落胆者小田島は、また同時に世にも羞しい果報者となってホテルへ帰った。イベットが訪ねて来る十時半にはもう一時間とは無い。
小田島がホテルの自分の部屋の扉を開けると、今まで意識から抜け切って居た女がまだ部屋に居た。女は浴室から上ったらしい丈夫相な半裸体のまま朝の食事を摂って居た。車付きの銀テーブルの上にキャビアの鑵が粉氷の山に包まれて居る。それから呑みさしの白葡萄のグラス――小田島は呆気に取られてその傍へ突立った。
女は彼を見ると、それでも沓下だけは大急ぎで穿いた。そして彼の体を全く馴染みの男の様に抱えてテーブルの前の椅子に坐らせた。
――あんた帰って来ないもんだから、一人で朝飯始めたのよ。