Classici giapponesi con furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Leggi ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.523 caratteri · 37 schermate
会計の方は一切清水が握っていて、いわば先生は清水の懐を肥やす為に、毎日働いていなすったんだわ。先生はいろいろご本をお書きになって、世界に知られた方だったし、ご診察の方も名人だったんですから、名誉を思えばこそ、清水にそんなひどい事をされても黙っていなすったんだわ。それに奥様は永いご病気でずっと床に着き通しですものね。あたしこの頃になって先生のお心持ちを察するとほんとに自然に涙が出て来るわ。
普通の人間だったら、どうせいくら稼いだって、他人の懐を肥やすだけですもの、働くのもいい加減嫌になるはずだけれども、先生は患者さんにはそれはご親切だし、前いったように、診察は名人だったから、なかなか流行ったわ。でもね、亡くなりなすった少し前から一層研究の方にお凝りになったので、自然患者さんも前程ではなかったようだったわ。ですから奉公人の数も、あたしの来た当座とは少し減ったの。診察所の方は薬剤師が一人と会計の爺さんとで、この二人は通い、その外に先刻いった下村さんと内野さんの書生が二人。外に看護婦が二人。これは随分顔ぶれが変わったわ。しかし看護婦なんてものは起きてるうちは病人を豚の子かなんぞのように扱って、寝てしまえば自分が肥った豚みたいにグウグウ鼾を掻いて、それこそ蹴飛ばしたって眼を醒ましやしないんだから、誰だって構やしない