Classici giapponesi con furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Leggi ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.878 caratteri · 26 schermate
九、家には白鼠あれば山には背広の紳士あり。
「大将さま、ごかんべんなすって下さい」と、東洋風にぺこぺこ頭をさげて嘆願した。大将は苦りきった顔で、
「射程標識の前で寝ころんでいる馬鹿があるか!」と、吐き出すようにいった。「観測兵が発見しなかったら、君達は今ごろどんなになっていたかわからんぞ」
「すみませんでした」と、さすがのタヌも大将にかかっては手も足も出ない様子。
何のためにこんな道を通るか、とか、この先、どこへ行くつもりか、とか、いろいろしちくどく訊問されたうえ、乾板を没収され、懇々と将来を戒められて放免されたのは夕方の六時ごろ。その写真機をお下げ渡しになる時、大将は、
「種板には豚の子ばかし写っとったそうだ」と、ひとこと附け加えてくれた。
九、家には白鼠あれば山には背広の紳士あり。サン・フロランタンの町はすぐそこだ、と要塞を出る時聞いたのだが、いつまで行っても山また山。どうやら、名だたるペエ・ドオトの山道に迷い込んでしまった様子。地勢はこのへんから急に昇って、石に阻まれたり窪地で途切られたりする、曲りくねった小径が一筋かすかに続いているばかり。漆のような闇の中から突然浮び出す白骨のような樺の朽木。