Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Leggi ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.682 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

多分あの吃漢の話を真に受けて、アルプス倶楽部に花火をあげさせるつもりなんだろうけれども、君だって、担架で運ばれて来たあの血綿のような塊を見ないわけじゃなかったろ。氷河へ行けば大きな亀裂がある。吹雪は吹く。まるで琺瑯引きの便所の壁のように、つるつるした氷の崖なんかがあって、女の子なぞには手も足も出るもんじゃないよ。ねえ、タヌ君、もし雪崩に押し落とされて、下の岩角でお尻をぶったらどうするつもりだね。そんなところへ青痣をつけて、どうしてのめのめ日本へ帰られるものか。それから僕だって、……これ見たまえ。この僕のガニ股で、どうして西洋剃刀の刃のように狭い氷の山稜を伝えるものか。それに僕は、あいにく午年生れで、高いところへ登れば、たちまち目がくらむようにできているんだ。谷底へ落ちてこなごなになってしまってからは、支那人の焼き継ぎでもハンダでも喰っ付きはしないからね。あ、桑原、桑原。……生命あっての物種だ、どうか山登りだけは思いとどまってくれたまえ。思いとどまったというまでは、死んでもこれを離さないから」と、リュック・サックにすがってかき口説くと、タヌは、いきなりそいつをひったくって