Classici giapponesi con furigana
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フランセスのかお
フランセスの顔
有島 武郎
Leggi フランセスの顔 (フランセスのかお) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.859 caratteri · 24 schermate
森の中に逃げ込むニンフのようなファニーを追いつめて後ろから抱きすくめた私はバッカスのようだった。ファニーは盃に移されたシャンパンが笑うように笑い続けて身もだえした。頭の上に広がった桜の葉蔭からは桜桃についた一群の椋鳥が驚いてうとましい声を立てながら一時に飛び立った。私ははっと恥を覚えてファニーを懐から放した。私の胸は小痛いほどの動悸にわくわくと恐れおののいていた。ファニーは人の心の嶮しさを知らないのだ。踊る時のような手ぶりをして事もなげに笑い続けていた。
* * *
書棚とピアノとオルガンと、にわか百姓の素性を裏切る重々しい椅子とで昼も小暗い父の書斎は都会からの珍客で賑わっていた。すべてが煤けて見える部屋の一隅に、盛り上げた雪のように純白なリンネルを着た貴女はなめらかな言葉で都会人らしく田園を褒め讚えていた。今日はカロラインまでが珍しく靴下と靴とをはいていた。ふと其処にファニーが素足のままで手に一輪の薔薇を捧げて急がしくはいってきた。彼女は貴女のいるのに気づくと手持ち無沙汰そうに立ちすくんだ。貴女とファニーとがこの部屋の二つの極のように見えた。