Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いっせきわ

一夕話

芥川 竜之介

Leggi 一夕話 (いっせきわ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5921 caratteri · 12 schermate

Aozora Bunko

色の蒼白い、目の沾んだ、どこか妙な憂鬱な、――」

「それだけわかっていれば大丈夫だ。目がまわったも怪しいもんだぜ。」

飯沼はもう一度口を挟んだ。

「だからその中でもといっているじゃないか? 髪は勿論銀杏返し、なりは薄青い縞のセルに、何か更紗の帯だったかと思う、とにかく花柳小説の挿絵のような、楚々たる女が立っているんだ。するとその女が、――どうしたと思う? 僕の顔をちらりと見るなり、正に嫣然と一笑したんだ。おやと思ったが間に合わない。こっちは木馬に乗っているんだから、たちまち女の前は通りすぎてしまう。誰だったかなと思う時には、もうわが赤い木馬の前へ、楽隊の連中が現れている。――」

我々は皆笑い出した。

「二度目もやはり同じ事さ。また女がにっこりする。と思うと見えなくなる。跡はただ前後左右に、木馬が跳ねたり、馬車が躍ったり、然らずんば喇叭がぶかぶかいったり、太鼓がどんどん鳴っているだけなんだ。――僕はつらつらそう思ったね。これは人生の象徴だ。我々は皆同じように実生活の木馬に乗せられているから、時たま『幸福』にめぐり遇っても、掴まえない内にすれ違ってしまう。