Classici giapponesi con furigana
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いったとはは
一太と母
宮本 百合子
Leggi 一太と母 (いったとはは) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.507 caratteri · 21 schermate
一太はうっかりした風で窓から外を見ていたが珍しがって急に大声を出した。
「ここんち竹藪があるんだねえ、おっかちゃん、御覧ほら、向うにもあるよ。この辺竹藪が多いんだね」
「ああ」
一太は眼をキラキラさせて訊いた。
「あんな竹藪、虎が出るだろうか」
「ハッハッハッ、ここへ虎が出ちゃ大変だ」
「じゃ朝鮮にいるだろうか」
「君が行く方にはいないよ、いるのは豚だけだ」
「豚? じゃ清正が退治したってのは本当は豚かい?」
「これ! 何です、豚かいなんて」
「ハハハハ。構わん構わん……清正が退治したのは本物の虎さ。だが虎は朝鮮でもずっと北へ行かないじゃいまいよ」
「ふーん」
暫くまた二人の話をきいていたが、一太は行儀よくしていることに馴れないから、籠に入れられた犬のように節々がみしみしして来た。一太は「アアー」と欠伸をしながら延びをした。
「何ですね一ちゃんは! あなたも一緒にちゃんとお願いするもんです。いくつになっても苦労ばかりかけて……」
「退屈な方が尤もさ。――外へ出て見て御覧、栗がなってるかも知れないよ」
一太は玄関を出て、大きなポプラの樹のところを台所の方へ廻って見た。直ぐ隣りが見え、そこの庭にはダリアが一杯咲いている。