Classici giapponesi con furigana
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Leggi 一本の花 (いっぽんのはな) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.709 caratteri · 55 schermate
これは、一年余り前のことだ。
四
続いて二日、秋雨が降った。
夜は、雨の中で虫が鳴いた。草の根をひたす水のつめたさが、寝ている朝子の心にも感じられた。
晴れると、一しお秋が冴えた。そういう一日、朝子は荻窪に住んでいる藤堂を訪ねた。雑誌へ随筆の原稿を頼むためであった。
ひろやかに庭がとってあって芝が生え、垣根よりに、紫苑、鶏頭、百日草、萩、薄などどっさり植っていた。百日草と鶏頭とがやたらに多く、朝子は目の先に濃厚な絨毯を押しつけられたように感じた。
四十四五の顔色の悪い藤堂は細君に「もっと濃く」と茶を代えさせながら、
「――秋になったが、どうも工合わるくて閉口しています」
と云った。
「数年来不眠症でしてね、こうやって家族と遮断したところで寝ても眠れない。癪にさわって暁方にジアールを二粒位飲んでやるんです。ところが、朝出かけなけりゃならないときなんか薬が残っていると見えましてね、この間も省線で、この次は目白だ、と気を張っていても夢中んなっちゃって乗り越す。はっと思ってまた戻るが、今度は戻りすぎて、一つ処を二三度行ったり来たりしました」
細君が、