Classici giapponesi con furigana
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Leggi 一本の花 (いっぽんのはな) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.709 caratteri · 55 schermate
「……じゃ」
朝子に、訊ねる時間を与えず、彼は云った。
五
日露戦争当時、或る篤志な婦人が、全国の有志を糾合して一つの婦人団体を組織した。戦時中、その団体は相当活動して実績を挙げた。主脳者であった婦人が死んだ後も、団体は解散せず明治時代帷幄政治で名のあった女流を会長にしたりして、次第に社会事業など企てて来た。
然し精神は昔の主脳者と共に死んだ。理事、その他役員が上流婦人ばかりなので、実権は主事、または庶務課長の諸戸吉彦にあった。女は女なりに、男は男でこの団体の内部を野心の巣にした。
雑誌部の仕事の性質と、自身の気質の上から、朝子はそれ等の外交や政治に関係出来なかったが、目につくことは多くあった。
社会事業の一として、内職に裁縫をさせていたが、工賃は市価よりやすかった。ちょっと不出来な箇処は何度でも縫いなおさせた。
「それじゃ、つまり、いくらでも払える人に、やすいお仕立物どころをこしらえて上げてるわけね。裁縫学校じゃない、内職なんだから、もう少しどうにかするのが本当ですよ」
朝子は、初めの時分、そんなことも云ったが、永年そこで働いている園子は、女学校長のように笑いながら、